わかりやすく、そして具体的に! 愛犬に伝える努力をしましょう
Column: Motivational Training 3
「ほめるしつけ」は成果を実感できるようになるまで時間がかかります。一方、罰を与える方法は、その場ですぐに成果が出たように見えてしまうため、達成感を得られます。 でも、そこには落とし穴があるので要注意。本当に犬のためになる教え方=「科学的なしつけ」とはどんなものなのかを考えてみましょう。
なぜ飼い主さんは叱ってしまうのでしょう?
飼い主さんが帰ってくると大喜びして飛びつく犬がいます。そのとき、もし飼い主さんが飛びついてほしくないと思って、犬の足を踏んだとします。いわゆる「罰」ですね。この後、犬はどう反応するでしょう?もしかしたら飼い主を噛む犬になってしまうかもしれません。場合によっては怖がって飼い主さんを避けるようになるかもしれません。
犬に「罰=嫌なこと」を与えると、犬は嫌なことから身を守る行動(吠える・噛む・逃げるなど)を選択するようになります。つまり、「罰=嫌なこと」を与えることで、犬に嫌なことから身を守ることを教えることになるのです。
「科学的なしつけ」では、飼い主が犬に直接、罰を与えることをオススメしません。それは、かわいそうだからとか、野蛮だからという理由ではなく、「身を守ることを教えるだけ」という結果を招くだけになってしまうからです。
また、罰の効果は一時的なものですから、犬はすぐに忘れてしまいます。しかも、しつけの成果に結びつけるためには、いつも同じ強さで(ちょうどいい強さで)、毎回100%罰を続けることが前提となります。ですから、罰で教えることは難しいのです。
それではなぜ、われわれ飼い主は犬を叱ってしまうのでしょう?それは、飼い主さんが「止めたこと」をすぐに実感できるからです。
「ほめるしつけ」で行うしつけトレーニングは、繰り返し「犬にしてほしいこと」を伝えていくものなので、結果が出るまで時間がかかります。ところが、罰を使えば一瞬にして「困った行動」が解消されたような気になるので、飼い主さんの気分もすっきり。しかし、犬に何をしたらいいかを教えないので、実際はいつまでたっても「困った行動」は解消されないのです。
また、罰を使ったトレーニングには大きな副作用があります。うまくいくこともあるかもしれませんが、怯えて何もできなくなる犬になったり、違う問題行動が現れたりと、多くの場合、愛犬に悪い影響を及ぼします。
すぐに効く薬は使いたくなるもの。飼い主さんが「言うことを聞かせた」という満足感にひたれるのも魅力的です。でも、長い目で見れば、やはり副作用のある薬はオススメできません。
叱る前に4つのポイントをチェックしよう
これまでご説明したように、やみくもに罰を与えるのは危険です。しかし、絶対に犬を叱ってはダメとは言いません。ただし、「NO!」と言って叱る前に、以下のポイントをチェックしてみましょう。
1 ここで叱ったとき、犬がどういう行動をとればいいのか、わかっているか?
すでに犬は何をすればいいかわかっていますか?何をしたら良いかわからないのに叱られれば、犬はただ混乱するだけです。
2 その犬と信頼関係を築けているか?
あなたの犬はあなたのことが大好きですか?信頼関係が築けていない犬をしかっても、ただ単に怯えさせたり、嫌われたりするという結果に結びついてしまいます。
3 今、自分が感情的になっていないか?
犬をストレス発散の対象にしていないかを、自分の胸に手を当てて考えてみましょう。
4 これまでの経験で、しかったときに効果があったか?
「叱っても言うことを聞かない」・・・これでは叱った意味がありません。犬も単に飼い主さんにいじめられたと思っているのかもしれません。これまで効果がなかった場合、急に叱って効果が得られるとは思えません。
以上の4項目をすべてクリアできるのならば、犬を叱ってもいいかもしれません。ただ、そのときも叱りっぱなしにはしないこと。必ず、何をしたらいいかをセットにして教え、最後は「GOOD!」で締めて下さい。また、初めから「NO!」で教えるのではなく、「具体的に犬にどうしてほしいのか」をできるだけわかりやすく伝えることが大切です。。
「ダメ!」「NO!」と禁止しておしまいにするのではなく、「こうして欲しい」と具体的に示せるような飼い主さんになりましょう。そして、ほめることを主体にしたトレーニングを続けていけば、時間はかかりますが、きっと正しいしつけが身につきます。その意味で、目先の成果にこだわらず、根気よくトレーニングを続けていくことがとても大事です。
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